英単語を覚えるのに必ずと言って必要なもの、それは単語帳です。ただ一概に単語帳といっていろいろな種類があります。例えば受験生が必ずと言っていいほど知っている「シス単」や「ターゲット」、英検対策に使われる「パス単」や「文単」など用途別に様々な単語帳が販売されています。ではどのような単語帳を選べえばいいのか。
そこで今回は、単語帳の選び方のポイントと、おすすめ単語帳を紹介していきたいと思います。
私は日本から一歩も出たことはありませんが、英検準1級に一発合格し、TOEFL itp543点(ちなみに千葉大の入学生の上位3%くらい)をとった高校1年生です。高校生だからこその視点からも交えておすすめの英単語帳を紹介するので最後まで読んでください。
この記事を読んで「どんな単語帳を選べばいのかわからない」というのが少しでも解消してくれればなと思います。
目次
英単語帳の選び方
では早速、単語帳の選び方のポイントを紹介していきたいと思います。
目的を明確にする
これは英単語帳を選ぶにあたって最も重要なところです。めんどくさがらずにやってください。そもそも冒頭で紹介したように英単語帳というのは目的ごとに様々なものがあります。もしあなたが英検対策をしたいなら、大学受験対策のものではなく、英検対策用のものを使うべきです。もちろん理想論を言えばすべての単語を網羅するのが一番いいです。でもそんなの不可能ですよね。日本語ですら知らない単語がないわけではないのに、ましてや英語ですべての単語を知ることはできません。目的がはっきりしないまま、何となく単語帳をやっているのでは英語力が伸びたとしても、成果は出にくいでしょう。そして成果が実感できないと、やる気を失ってしまいます。しかし、目的をはっきりさせることでそういうことは回避できます。
自分のレベルを把握する
これも目的を明確にするのと同じくらい大切です。例えばあなたが英検2級を受けることになったします。この時、2級用の単語帳を買うのはもちろんですが、その前にあなたが英検準2級レベルの英単語を覚えられているかを確認する必要があります。もし準2級の単語を覚えている自信がなかったり、または準2級にぎりぎりで受かったのであれば、2級の単語帳を始める前に準2級のものをやるべきです。当然ですが準2級で出てくる単語は、当然のように2級で出てきますし、それは準1級になっても1級になっても同じことです。英語は続き物です。土台がちゃんとしていないといつかこけてしまいます。後のことを考えると、一見遠回りに見えても、自分のレベルにちゃんとあった単語帳を選ぶべきです。
今は単語帳よりも自分のレベルが低かったという例でしたが、逆もあります。自分のレベルよりも低い単語帳をやるのは基本的にはおすすめしません。例えば載っている単語の9割近く元々知っている単語だった場合、それも自分のレベルに単語帳があってない証拠です。完璧にしたい気持ちはわかりますが、本当に完璧にするのには非常に時間がかかってしまいます。それよりは載っている単語をほとんど知らないという単語帳を一からやって、そこに乗っている単語の9割を覚える方が、効率がいいです。効率の良い勉強をするためにも、自分のレベルをしっかり把握してください。
ちなみに英検のレベルチェックテストが公開されています。そこで自分の単語力を調べてみるのもおすすめです。
見出し語の音声を聞けるか
見出し語の音声を聞けるかというのは、上の2つには劣りますが非常に重要なことです。最近はCD付のものや専用アプリで再生できるもの、ダウンロードするものなどいろいろあります。個人的にはアプリで再生できるものを買うべきだと思います。これには2つ理由があります。
まず1つ目に、ダウンロードするものは単語毎にファイルに分けられていたりして、一覧性がなく、非常に使いづらいです。また、スマホで再生するためには、一度パソコンでダウンロードして解凍したものを移す必要があり、正直面倒です。「そんなところで怠けるな」と思われるかもしれませんが、これが高校生の僕の本音です。また、ダウンロードする場合、本体に保存されるのでスマホのストレージが圧迫されるかもしれません。ダウンロードでしか音声を聞けないのは非常に不便だということがわかっていただけたと思います。
2つ目にCD付のものでは、気軽に聞けないというデメリットがあります。これはどういうことかというと、CDを再生するにはプレイヤーが必要です。それを準備してCDを入れて・・・という一連の作業は非常に煩わしくて、とてもじゃないけど手軽に音声を聞くことはできません。僕は英単語の音声は流し聞きみたいな感じで聞くことが多く、他の人もそういう使い方の人が多いと思います。「単語の音を聞くんだ!!!」といって机に座ってまじめにやる人ならいいかもしれませんが、そうでなければCDはおすすめできません。他にもン、通学中に聞けないだとか、ページがめくりづらくなるというのもCDの欠点です。特に煩わしいのは、ページをめくりづらくなることで、くだらないと思うかもしれませんが、これも大きな点です。
それに対し、アプリで再生できるものは、手軽に、どこでも再生することができ、まためんどくさい作業や、ページをめくりづらいなどがありません。例えば旺文社のものだと、大抵の単語帳の音声をアプリでも聞くことができ、また前回の最後のトラックから再生する、などができ非常に便利です。
どういうタイプの単語帳か
どういうタイプの、とはどういうことか。大きく分けて3つの種類があります。
①単語と意味だけ:シンプルで、困ったらこれ。単純暗記が苦手ならおすすめしない
②単語カード:順番が入れ替えられる。スキマ時間でやるならコレ!!
③文章の中で覚える:単純暗記が苦手ならおすすめ。リーディング対策にもなる
これら3つにはそれぞれ長所と欠点があります。それについて話すと記事が長くなりすぎてしまうので細かいことは別の記事で紹介します。
大きな特徴として・・・
①はシンプルで一覧性があり、ほとんどの単語帳はこれに当てはまります。困ったらこれを選ぶべきです。しかし単語の順番を入れ替えられないため、場所で覚えてしまう可能性があります。実際「僕も場所で覚えてるなんて・・・」と思っていましたが意外にも人は場所で覚えてしますことが多いようです。また単純暗記が苦手ならおすすめはあまりできません。
②は順番を入れ替えられるので、①で起きるような「場所で覚える」ということがありません。さらにサイズが小さいのでポケットに入れられるのもうれしいところです。そしてできない単語だけをまとめることができるので非常におすすめです。しかし一覧性がないため初見の単語が多いと少しきついかもしれません。また値段も高い傾向があり、仕訳がめんどくさいという欠点もあります。
③は文章の中で単語が出てきてそれを覚えるというもので、いろいろな使い方ができます。例えば、シャドーイングに使えたり、リーディング対策になるなど、単語暗記以外にもいろいろ盛りだくさんでおすすめです。また単純暗記が苦手なら、内容と結び付けて覚えられるのでおすすめです。しかし単語を一気に覚えるというのには向いておらず、時間をかける必要があるのが欠点です。
このほかにも語源で覚えるタイプなどもあります。実際僕も語源タイプで有名な「語源図鑑」を使ってみたこともありますが感想としては、あまりおすすめではありません。これは覚えるのに時間がかかる割に、例外が多くて、あまり覚えられなかったからです。ただ、一部のよく出てくる接頭辞などは単語を想像するのに使えることもあるので一概に悪いとは言えません。少なくとも僕は読み物として楽しめたので良かったです。
どういう例文が載っているか
これは目的によって載っている例文も変わってくるのですが、例えばTOEFL対策(TOEFLとは大学などで使われるアカデミックな内容の試験)のものでは、かたい感じの例文が多いです。これは当然テストに出てくるような例文を載せているからです。しかし、大学受験用のもので最初の単語帳に載っている例文が、
「氷河期にアメリカ先住民たちはベーリング陸橋を通って北アメリカ大陸へ渡った」
みたいものだったらやる気をなくしてしまうかもしれません。載っている例文が自分好みかも見てみるべきだと思います。
用途別おすすめ単語帳
ここからはおすすめの単語帳を紹介していきたいと思います。
大学受験対策用
システム英単語:大学受験対策用(タイプ①)
シス単の特徴としては厳選された情報しか載っていないというところで、覚えるべき最低限のことが載っています。これは単語暗記にばかり時間をかけてられない受験生にはありがたいです。また、例文ではなく、覚えやすい最小限のフレーズを採用していて、掲載単語も最新の入試を分析し、出る意味・出る形で掲載されているため効率的に単語を学習できます。
しかし欠点としては、当然情報量が少ないということで、何かの情報と結び付けて覚えたいという人にはおすすめできません。ただ多くの受験生に使われているだけあって、非常に仕上がりはいいので困ったらこれを使うことをおすすめします。ただCDしかなくて、さらにそれが別売りなのは残念です。
ターゲット:大学受験対策用(タイプ①)
ターゲットはシス単と同じくらい有名な単語帳です。ターゲットには1200、1400、1900と3シリーズあり、より自分に合ったものを選ぶことができます。試験で最も使われる意味が載っているので、ある意味効率でいえばシス単よりもいいかもしれません。また、シス単同様、出る順に並んでいるので効率のいい勉強ができ、さらに無料でアプリで見出し語の音声を聞くことができ、また「ターゲットの友」というアプリを使えばターゲットの単語をどれだけ覚えられているか確認できます。
カード英単語ターゲット1900:大学受験対策用(タイプ②)
これはターゲットシリーズの単語カード版です。これのいいのはさっきも説明した通り、順番を入れ替えられるので、「場所で覚える」ということがなく、さらにサイズが小さいのでポケットに入れられるのもうれしいところです。そしてできない単語だけをまとめることができるので非常におすすめです。しかし一覧性がないため初見の単語が多いと少しきついかもしれません。音声は普通のターゲットと同じようにアプリ上で聞くことができ、単語をテストできる「ターゲットの友」も使うことができます。実際使ってみて単語カード形式は便利で僕的にはかなりおすすめです。
単語王 フラッシュ・カード:大学受験対策用(タイプ②)
ターゲットの単語カードシリーズを紹介するならこちらも紹介する必要があります。これはあの有名な単語王のフラッシュカード版です。単語王は難しい単語まで網羅されていて非常にいいです。実際に使ったことはないですが、ターゲットの単語カード版を買う際には非常に悩みました。
速読英単語:大学受験対策用(タイプ③)
これも有名ですよね。速単は文の中で覚えることができるだけではなく、別売りのCDを使えばシャドーイングができ、英語4技能の底上げを図れます。ちなみに僕が思う最強の英語学習法は多読とシャドーイングの組み合わせなのですがそれはまた別の記事で説明したいと思います。
新ユメタン:大学受験対策用(タイプ①)
ユメタンにはユメタンメソッド著者の木村達哉先生が提唱する学習メソッドが体現されていて、1週間かけて同じ100語を覚えていくアプローチが特徴です。しかし例えば「新ユメタン1」では1000語掲載されているので計算上は一周するのに2か月以上かかることになり、しかも1周目にやった単語を完璧に覚えているという保証はありません。しかも2か月以上ともなると負担も大きいです。実際中学生の時に学校で配られたのでそれをやっていましたが、正直言ってメソッド通りに学習するのはかなり自己管理できないと無理ですね。音声はCDのみですが内容は非常に良かったです。またレベル別に分かれているので自分に合ったレベルのものを選びやすいです。
鉄壁:大学受験対策用(タイプ①?)
鉄壁はあの超超超エリート塾である鉄緑会が作った単語帳で、私も使わせていただいています。これのいいところはなんと言っても情報量が多いというところ。情報量が多いのは関連づけて覚えるのに非常に役に立ちます。また、例文もしっかりしており、派生語なども充実しすぎなくらい充実しています。また他の多くの単語帳とは違い、出る順ではなく、テーマ別で分かれています。これも関連づく覚えるのに一役買ってくれています。ただ欠点としては情報量が多すぎるということ。高校3年生になってから始めるのは無謀です。最低でも高校2年生の時から、できれば高1の時から始めるべきです。またCDが別売りで、しかもそれが結構高いというのは欠点です。
「タイプ①?」という風に書いたのは形式としては単語とその意味が載っているものですが、例文が非常に充実していたり、単語によっては語源が説明されていたりするので純粋な①ではないと感じたので「?」を付けました。
英検対策用
出る順パス単:英検対策用(タイプ①)
王道です。英検対策といえばまず最初に浮かぶのがこれでしょう。これのよい点はまず名前の通り「出る順」に単語が並んでいることです。これはどういうことかというと、何も考えなくても前から順番にこなしていけばいいということで、時間がなくても最低限の対策ができ、非常にいいです。またみんなが使っているという安心感があります。くだらないと思うかもしれませんが、これは重要なことで、「自分がやっている単語帳はみんな使っていて、それで合格しているのだから、とりあえずこれをやればいい」という風になり、自分が選んだ単語帳に対して、「本当にこれでよかったのだろうか」というような不安が出づらいからです。また専用アプリで見出し語を再生できるのでそれもいい点です。欠点としては、掲載されている単語数が多すぎるということで、やりきれないということが起きやすいです。実際僕自身も「出る度C」はいつも手をつけていません。裏返せばこれさえやれば完璧ということなのですが・・・
文単:英検対策用(タイプ③)
個人的に非常におすすめしている単語帳です。特に英検準1級以上を受ける人にはおすすめします。なぜかというと、準1級にもなると、単語が難しい以上に、内容が日本語でも難しいようになってきます。難しい文章に慣れている人ならいいですが、そうでなければ文章になれるという意味でも使えるのでお勧めです。しかし、文章の音声がCDというところです。
キクタン:英検対策用(タイプ①)
この単語帳のいいところは、掲載単語がパス単よりも厳選されているところです。そのため覚える単語が最低限度のものだけにとどめられていて、やり切りやすいです。またキクタン特有のチャンツで覚えることもできるのでお勧めです。ただ掲載単語が少ないため大問1の単語補充問題が少し不安です。
TOEFLテスト英単語3800:TOEFL対策用(タイプ①)
この単語帳のいいところは、TOEFLを受ける人のほとんどみんなが使っているというところです。みんなが使っているというのは、学習を進めいていく中で生まれてくる不安要素を消してくれます。また音声はアプリで再生することができ、単語も難易度順に掲載されているので効率的な学習ができます。
この後に紹介する「必修5600」と比べると掲載単語数が少ないように思えますが決してそんなことはなく、必要十分以上を提供してくれていています。欠点としては典型的なタイプ①であるということで、何かと結び付けて覚えたいならあまりおすすめはできません。
TOEFL Test 必修5600タイプ:TOEFL対策用(タイプ③)
この単語帳のいいところは、文章の中で覚えられるというところで、単語学習だけでなく、リーディングやCDを使ってのシャドーイングなど様々な使い方ができて「おいしい」点です。しかし、5600語はさすがに多すぎて全部覚えるにはかなり時間が必要だと思います。また、Amazonのレビューを見ていると、「文章の日本語訳が変」、というコメントが多く見られるので、それは一つの不安要素かもしれません。(あくまでAmazonのレビューですが・・・)
しかし、日本語で読んでも難しいような内容が平気で出てくるTOEFLテスト用なので、日本語訳が難解で分かりづらいだけなのかもしれません。とにかくそんなTOEFLの文章に慣れるという意味でもこの単語帳はいいと思います。
まとめ
単語暗記は地道な作業で時間がかかりますが、だからこそ自分に合った単語帳を選ぶべきだと思います。ただ、単語帳を選ぶだけでは同然意味がありません。ぜひ「これっ」という一冊を見つけたら、その一冊を使い倒してください。